スペサルティン  spessartine Mn3Al2(SiO4)3  [戻る

等軸晶系 等方体。n=1.800前後

色:無色。時に淡紅褐色。

へき開:認められない。

双晶:認められない。

累帯構造:MnのかわりにFeが固溶し,アルマンディンと累帯構造をなす場合がある。この累帯構造は偏光顕微鏡ではわかないことも多い。

産状

チャート起源の珪質片岩・紅れん石片岩などの低変成度の広域変成岩中に,小さな斑状変晶,あるいは微粒子の層状集合体でしばしば認められる(微粒子の層状集合体は肉眼では黄色に見える)。なお,酸化的な変成作用ではMnは3価となり,スペサルティンはあまり形成されず,Mn鉱物としては紅れん石・ブラウン鉱が主体となる。
※変成度が上がるとアルマンディン成分が増え,角閃石片岩相や青色片岩相の変成岩ではアルマンディンが多い。

また,接触変成作用や広域変成作用を受けた層状マンガン鉱床中に,石英・バラ輝石・テフロ石などに伴い塊状・層状・散点状で多産する。

なお,泥質ホルンフェルスに散点状で生じていることもあり,それはアルマンディンとの中間組成である。





結晶片岩(ケイ質片岩)中のスペサルティン (平行ニコル)
Sps:スペサルティン,Qz:石英,Ms:白雲母

低変成度の白雲母片岩やケイ質片岩,紅れん石片岩にはざくろ石ができていない場合も多いが,時々,細粒の無色のスペサルティンが見られることがある。これはまばらに散在する場合もあるが,集粒状の層状集合体をなすこともある(画像の左上)。変成度が上がると赤みを帯びたアルマンディン成分に富む部分がオーバーグロースし,粗粒化し,累帯構造が見られるようになる。